具象文様

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具象文様は、江戸時代以前も織りや絞りの文様で表現されていましたが、江戸時代初期に友禅染の華やかな色彩で文様が描かれるようになっていて、いっそうバリエーションが豊富になりました。
植物をかたどった文様が圧倒的に多く、他に動物、自然、器物文様があり、同じ対象を文様にしても表現方法はさまざま。例えば菊の花なら、乱菊、むじな菊、万寿菊、菊尽くしなど。また、自然の情緒を大切にした先人は流水に紅葉、楓に鹿、つきに兎など、自然と動植物を組み合わせたりして季節感を表現しました。

 

 

 

 


歌舞伎文様

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歌舞伎役者の名を洒落やごろあわせで考案した文様や、歌舞衣装に使われて江戸庶民の間で流行した文様は、歌舞伎文様と総称されます。この文様の特徴は縞と格子が非常に多いこと。江戸文化の担い手であった人気役者たちに好まれた幾何文様は、有職文様や間道などの幾何文様とは雰囲気を全く異にし、洒脱さが心情です。
中村芝翫の芝翫縞、坂東三津五郎の三津五郎格子、尾上菊五郎の斧琴菊などは役者の名や屋号からの考案。半四郎鹿の子や市松文様は歌舞伎衣装として使われた文様で、今も浴衣や手拭い、小紋や帯などによく用いられます。

 

 

 

 

 


名物裂文様

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広く人に知られたものを名物と呼びますが、茶道の世界では、千利休をはじめ、著名な茶人が名品と認めた茶道具を名物と呼び、茶入れや袱紗などに用いられた裂れを名物裂れといいます。

 

■名物裂のなりたち

茶の場の名品を名物として集大成したのが、江戸時代の大名茶人松平不昧公です。
利休以前に足利義政らが収集したものを大名物、利休の選んだ品を名物、小堀遠州が選んだものを中興名物とし、不昧公が名物並みを加えました。

 

■名物裂の織りと文様

名物裂のほとんどが宋、元、明時代の中国からの舶来品。なかでも一六世紀頃までの名物裂は「古渡り」と呼んで珍重されています。
また、名物裂の地は緞子、金襴、間道などですが、書道のしんぎ真行草にちなんで格付けされています。緞子は金襴の文様では、笹蔓緞子や荒礎緞子、そして高台寺金襴をはじめとする唐草文が有名です。
間道は絹を中心とする縞の織物で、縞の文様によって吉野間道、青木間道、日野間道など。また、正倉院宝物にもある燭光錦や有栖川錦の名物裂もあります。
これらの名物裂文様は総じて奈良・平安の文様より小さく、渋い品格を持ちます。

 

■名物裂文様と帯

名物裂の来歴から、茶人好みの織り帯として愛好され、特に色無地や江戸小紋によく調和します。

 

 

 


有職文様

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本来、有職とは有識と書かれ「学識豊かな」という意味でしたが、平安時代を過ぎると公家の模範という意味を持ち、有職という字があてられました。そして近世になると、公家が調度品や装束に用いた文様を、有職文様と呼ぶようになりました。
有職故実によって、官位を持つ公家たちの装束は位階により定められた文様がありました。例えば、黄丹御膀袍は皇太子が公式の場でちゃくようする装束で、文様は鴛鴦の丸です。宮中の女官である典侍の唐衣は、亀甲に向かい蝶丸といった具合でした。

 

■有職文様の特徴

公家の装束は十二単に見られるような、かさね着形式。文様よりも色重ねを重視した装いで、絵模様は重ねの下に隠れてしまうことから、整然と繰り返される織りの文様が発達しました。したがって、丸、菱、亀甲、立涌などの幾何文様や幾何連続文様を特徴とし、花、蝶、雲、波など優美な形を持つ題材を丸や菱型に組み合わせたものが多くみられます。

 

■有職文様は礼装の帯や着物に

平安時代の公家装束の有職文様は一、二の技法を除いてほとんどが単色の織り文様でしたが、現代では礼装用の袋帯に色糸で織り出したり、礼装の着物に華やかな色彩で描いたり、花嫁衣裳の白無垢や準礼装用の色無地の地紋として用いられています。

 

 

 


正倉院文様

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正倉院は、もと東大寺に付属していた大蔵で、建造は奈良時代、大仏開眼前後と言われています。

 

■正倉院の宝物は聖武天皇ゆかりの品々で、仏具、武器武具、文房具、楽器、調度品、服飾品、食器など多種多様です。なかでも染織品は十数万点におよぶといわれ、これらを総称して「正倉院裂」と呼んでいます。正倉院文様とは狭義には正倉院裂の文様をさしますが、宝物の楽器などを写した文様も正倉院文様と呼ぶことがあります。

 

■異国的な雰囲気を持つ正倉院文様

シルクロードの終着点といわれる正倉院。その宝物は国際色豊かで、中国や西域(ペルシア)からの舶来品も多く見られます。また、百済からの渡来人によって制作されていた宮廷用の染織品も舶来品の影響を強く受け、平安時代の和風の文様に比べて、異国的な雰囲気が特徴です。

 

■代表的な文様は唐花文、葡萄唐草文、狩猟文、獅噛文、双龍文、宝相華文、連珠円文、花鳥文、などで、錦、綾、羅、綴などに織り出されています。

 

■礼服の文様にふさわしい風格

華やかで異国的な正倉院文様は、宮廷で使われた品々の文様なので、品格があり、現代は主に礼装用の帯の文様として用いられ、独自の風格が愛されています。