着物と帯の文様

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文様とは模様のこと。家紋や地紋も文様表現の一つですが、着物や帯に色糸で織り出されたり色彩で描かれたりする文様は、数えきれないほどの種類があり、卓越したデザイン性を持っています。

 

■文様の種類

菊を見れば菊の姿を衣服の文様に取り入れ、蝶を見れば蝶を、雲を見れば雲を、扇を見れば扇を、というように、身のまわりの植物、動物、自然、器物は全て文様化されているといっても過言ではありません。これらを総称して具象文様といいますが、このほかに直線や曲線の組み合わせによってできる抽象的な幾何文様や幾何連続文様もあります。

 

■文様の時代様式

着物を選んだり、着物と帯をコーディネートする際に知っておきたいのが、それぞれの文様の時代背景です。格の高い文様が礼装や準礼装にふさわしいことはいうまでもありませんが、着る人を優美に見せたり、洒脱に見せたりする着物は、その文様が持つイメージによるところが大きいからです。
奈良時代の正倉院文様や平安時代の有職文様は皇族や貴族の文様でしたから格が高く、名物裂は茶人に愛されたことから、その文様は現代も茶席にふさわしい装いに、歌舞伎役者の好んだ文様は街着や浴衣に写され、カジュアルな文様として親しまれています。

 

■吉祥文様

古来、人は幸せであってほしいという願いを小物や帯の文様に託してきました。それが吉祥文様です。吉祥とは「良い前兆」という意味。吉祥文様のルーツは中国ですが、平安時代には既に日本独自の吉祥文様も見え、江戸期に著しく発展しました。また、着物の伝統文様は何らかの意味で吉祥の気配を秘めているともいわれています。
ごく一部ですが、吉祥文様が持つ意味を記してみましょう。

○鶴亀、桃、菊、熨斗、兎→長寿
○葡萄、石榴、瓜、唐子→子孫繁栄
○麻、竹→成長祈願
○七宝、宝船、扇→栄達
○琵琶、藤、鯉、鶏→昇進
○鴛鴦、相生の松、貝→夫婦円満
○雪輪、雀→豊作
○六瓢、薬玉→健康

兎は月で不老長寿の仙薬を作っているという説から、雪輪は雪の多い年は豊作といわれ、六瓢は無病に通じることからそれぞれ吉祥の意味になります。

 

■慶事用の着物と吉祥文様

吉祥文様が用いられるのは慶事用の着物や帯だけとは限りませんが、慶事の礼装や準礼装には、よいことがいつまでも続きますようにという願いを込めて、いくつかの吉祥文様を組み合わせて身につけ、祝いの気持ちを表します。

 

 

 


着物の伝統色と色名

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着物は明治以前は草木をはじめとする自然界の染料で染めていました。現代では、科学染料を用いることが多いのですが、天然染料で染めた微妙な奥行きのある色に近づける努力がされています。

 

■伝統色は植物で染めた色

天然染料のほとんどは植物が原料です。赤色系には茜、紅花、蘇芳。紫系には紫草、蘇芳。黄色系に黄はだ、梔子、うこん、刈安。青は藍。褐色系や黒に夜叉五倍子、つるばみなどを使い、似たりばいせん剤を用いたりして染められます。こうして染められた色は、日本の伝統色としてゆかしい名前がつけられています。

 

■伝統色の流行

日本人の紫好きは、紫がもっとも高貴な色とされていたことと深い関係があるといわれ、バリエーションも豊富です。紫や赤、青の名が多いことは、これらの色が遠い昔から好まれてきたことを示しています。
また、時代が下がるにつれて新しくできた色も沢山あります。たとえば江戸時代は茶色やねずみ色が流行色で、しかん茶やろこう茶のように歌舞伎役者にちなんだ色や、茶道の流行から利休茶、利休ねずみと名づけられた色もあります。
こういった色の来歴やイメージを大切にして色を選ぶことも、着物の楽しみの一つといえるでしょう。

 

 


着物地と着物の地紋

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「縮緬細工」という言葉を聞いたことがあると思います。この縮緬という名称は染めの着物の素材の織り方を示しています。このほか、白生地にはさまざまな織り方があります。

 

■代表的な白生地

白生地の織り方の代表的なものをあげると、縮緬、綸子、羽二重など。縮緬はしぼ(凹凸のある織り方)が特徴。塩瀬は塩瀬縮緬の略です。綸子は光沢が特徴、羽二重は一般的に深い光沢がある地厚の絹布ですが、実際にいろいろな着物を見ているうちに、区別がつくようになります。

 

■地紋について

地紋とは、布地に織り出した模様のことで、家紋や紋とは関係ありません。白生地には地紋があるものとないものがあり、地紋がある白生地は「紋縮緬」、または紋意匠縮緬、紋綸子などと呼ばれます。また、織りの着物地では例外的に御召の一種に「紋御召」と呼ばれる生地があります。このように、地紋のある生地は「紋+素材名」で呼ばれるのが通例です。また、この地紋にも模様ごとに名前があります。

 

■着物の生地や地紋とTPO

弔事には光った素材を用いない、派手な色や模様を着ないというのが、洋の東西を問わず大切なマナーです。したがって、着物の場合も綸子や羽二重を避け、華やかな地紋や慶事を象徴する地紋は避けます。

 

 

 


紋の基本とお洒落

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「紋」とは紋章のことです。世界で紋章を持つのはヨーロッパや米国の上流階級と日本だけと言われていますが、日本では紋章のことを「紋」または「家紋」と呼び、全ての家に家紋があるのが特徴です。そして着物の世界では、礼装や準礼装には必ず付けるのがルールとなっています。

 

■紋の歴史と今

家紋は平安時代の公家が調度品などに使用したのが始まりです。藤原氏の藤の丸、橘氏の橘などは姓を付与されたときから用いられてきた家紋といわれています。鎌倉時代になると武士も公家にならって家紋を持ち、非常に大きな家紋を五つ染めた「大紋」と呼ばれる武家装束が生まれました。また、戦国時代は軍旗や笠に家紋を配し、戦場で敵味方を見分けやすくするために用いられていました。
このような伝統を持つ家紋が庶民の間で大流行したのが江戸時代です。家を象徴する礼装の意匠としてだけではなく、家紋をさまざまにアレンジしたり、家紋とは別に自分だけの紋を作ったりして、紋のお洒落を楽しみました。
現在4590種類の家紋があるといわれ、植物は器物をはじめ、天体、文字、動物などを題材にしたこの意匠は、世界的に賞賛されています。

 

■礼装・準礼装の着物と紋の数

礼装の格の度合いによって着物に付ける紋の数を五つ、三つ、一つから選びます。五つがもっとも正式、一つがもっとも略式です。
五つ紋は背中心、両外袖、両胸に付け、三つ紋は背中心と両外袖に、一つ紋は背中心に付けます。一般的に着物の紋の大きさは男女で異なり、男性は3.8センチ、女性用は1.9センチが現代の標準です。

 

■紋の表現方法と格式

紋の表現方法は、その技法によって格式があります。現代の正式な紋は「染め抜き紋」といって、白く染め抜いた紋、略式の紋は「縫い紋」といって刺繍の紋です。さらにどちらの紋にも、形を染め抜いたり縫ったりした「日向紋」と、紋のラインだけを染め抜いたり縫ったりした「影紋」があり、日向紋のほうが正式です。
また、もともと紋の周りを円で囲んだ家紋もありますが、そうでない場合は、円で囲めばより正式な表現になり、男性の紋服に付ける場合は必ず円型を付けて表現します。
女性の再考の礼装である留袖や黒喪服には「染め抜き日向五つ紋」を付けます。円型を付けたものがもっとも正式ですが、女性の礼装には円を略すことも多いようです。

 

■格式張った家紋ではなく、遊び心のある自分用の紋を着物や小物に最初に配したのは、江戸時代の歌舞伎役者や洒脱な武士たちでした。友禅染の多様な「加賀紋」、家紋の一部を覗かせた「覗き紋」、和歌や名所にちなんだ「伊達紋」など。これが現在「洒落紋」と呼ばれるデザイン性のある紋の原型です。
準礼装の着物を華やかに、あるいはひと味違ったものにしたいとき、紋の大きさも自由にアレンジしてオリジナルな洒落紋を配してみるのもいいでしょう。

 

 

 

 


呉服専門店の利用

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呉服専門店は、洋服で言えばブティックにあたりますから、その規模も品揃えも色々あります。ただ、品揃えという面からいえば、礼装の染めの着物を中心にしているお店と、趣味的な紬など織の着物を多く扱っている店に大別され、昨今の需要から染めの着物が中心というお店が多くなっています。

 

■老舗呉服店は品揃え個性がある

呉服店として古くから続く店や、歴史は浅くともこだわりを持った店ほど、その店の好みが着物の色柄に強く表れます。全国的にみても店数はそう多くありませんが、図案を起こして染色加工を依頼したり、織元へ織物を依頼するなどした、オリジナルの着物や帯、小物などを販売する呉服店もあります。
多くの呉服店は、問屋から仕入れるときに好みの品を選んでおく仕組みになっています。個人経営の店が多いこともあり、いずれにせよ店主の好みが商品に反映することは間違いありません。そういった呉服店の中から自分のセンスに合った店、相談しやすく信頼できる店主や店員さんのいるお店を見つけたときは嬉しいものです。

 

■着物を着る機会が多いなら、一軒の店で揃えるとなにかと便利

礼装だけでなく、お稽古着などで着物を着る機会が多い人なら、専門店と親しくして、着物を一軒で揃えると、着物と帯のコーディネートもしやすく、着やすくなります。茶道のお稽古をする人は、その流派の流儀に詳しい呉服店なら、季節に合わせた茶席の着物選びに適切なアドバイスをしてくれることでしょう。

 

■呉服チェーン店の特徴

全国に支店を持っている呉服チェーンは、数量を多く仕入れるので、一般的に呉服専門店に比べると価格が安くなります。また、その会社のオリジナル品として量産したものは、各地に手頃な価格で出回ります。若い人向きに帯と小物をセットにした振り袖や浴衣もあり、成人式の着物やお稽古着を自分で買いたい人にはいいかもしれません。化繊の着物などもありますから、入門者にはいいでしょう。主に若い人向きの品揃えでうsが、チェーン店でも本店には高級品を置いている所があります。

 

■常連になれば特典が豊富な専門店

デパートでも常連客になれば特典はありますが、もっと常連客を大切にするのが呉服専門店です。予算を心得た対応をしてくれますし、手持ちの着物になにを足せばよいかなどの相談、アフターケアなど、きめ細かなサービスをしてくれます。
この他最近、電話で誘ったり、チラシで安売りを宣伝する無店舗販売があります。あとでトラブルが無いよう、賢明な判断をして頂きたいです。